相続税の申告に必要な書類の具体的内容
Q. 相続税の申告書を作成するにあたり、何から始めたらよいのかわかりません。行うべきこと、必要な書類等について教えてください。
◆ポイント!
相続税の申告までは、大まかに下記の流れで進めます。
① 相続人の確定
↓
② 遺言書等の存在の有無の確認
↓
③ 相続財産目録の作成
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④ 遺産分割協議
↓
⑤ 相続税の申告書の提出
相続税の申告納税までの期限は、亡くなってから10カ月以内ですが、それまでに行うべき事柄は少なくありません。相続人はその事柄にあわせて必要とされる書類等を収集準備する必要があります。
◆必要な資料等
①相続人の確定と、②遺言等の存在の有無の確認のために必要な書類等
(イ) 被相続人の生まれた時から死亡時までの戸籍謄本、戸籍の附票
(ロ) 各相続人の戸籍謄本(現在戸籍)、戸籍の附票
(ハ) 被相続人の住民票の附票
(ニ) 各相続人の住民票
(ホ) 公正証書遺言、自筆証書遺言等の確認
(※自筆証書遺言がある場合には、家庭裁判所で検認を受ける必要あり)
(ヘ) 各相続人の印鑑証明書
③相続財産目録の作成のために必要な書類等
相続財産目録は、亡くなってから3カ月以内を目途に作成することが望ましいですが、非上場株式など、その評価に時間を要する場合があります。一般的に必要とされる書類は、財産種類ごとに以下のとおりです。
(イ) 土地、建物: 登記簿謄本(法務局等)、土地建物名寄帳(市町村等)、固定資産税評価証明書(市町村等)、地積測量図、公図(法務局等)、住宅地図、賃貸借契約書等(貸地、借地、貸家の場合)
(ロ) 上場株式: 証券会社の取引報告書等、証券会社の預かり証明書
(ハ) 非上場株式: 法人税の申告書一式(直前3期)、株主名簿等
(二) 現金預貯金: 残高証明書、通帳
(ホ) 会員権類: 会員権、預託金証書
(ヘ) 生命保険金: 保険金支払通知書(死亡保険金の場合)、保険解約返戻金証明書(生命保険契約を相続する場合)
(ト) 退職金: 支払通知書
(チ) 貸付金: 金銭消費貸借契約書
(リ) 書画骨董品類: 作品名、作者名、写真等
(ヌ) 家庭用財産: 特記すべきもの明細(車、貴金属類、リフォームの有無など)
(ル) 未収入金等: 老人ホームからの入所一時金の返金記録等、家賃の入金記録等
(ヲ) 債務関係: 借入金(金銭消費貸借契約書、残高証明書等)、未払金(医療費等の領収書等)、未納租税公課(固定資産税、住民税、事業税等の領収証等)、通夜・告別式・納骨等葬儀費用等(領収証)
④遺産分割協議
遺言書がない場合、相続財産目録および債務の一覧をもとにして、相続人全員で相続財産および債務の引継ぎについて話し合い、合意した内容で遺産分割協議書を作成し、各相続人が署名捺印します。相続税納税金額をおおよそ把握したうえ、署名捺印することが重要です。
⑤相続税の申告書の提出(および納付)
遺産分割協議書の内容に沿って、相続税の申告書類の作成を行い、相続財産を取得した各相続人が署名捺印を行ったうえで、税務署に提出し、相続税の納税を行います。