財産債務調書

Q.父親の財産は下記のとおりです。

・自宅土地 1億円(相続税評価額)

・自宅建物 1,000万円(相続税評価額)

・アパート土地 5,000万円

・アパート建物 4,000万円

・預貯金 1億円

・有価証券 5,000万円

・借入金 1億円

父親の所得税申告上の所得金額の合計額は、2,000万円を超えています。財産債務調書の提出は必要なのでしょうか。

ポイント!

①平成28年1月より、財産債務調書の提出が義務付けられました。

②所得金額の合計金額が2,000万円を超え、かつ、その年の12月31日において3億円以上の財産を保有している場合は、財産債務調書の提出が必要です。

③財産が3億円以上であるかは、借入金控除前の財産の合計額で判断します。

A.平成27年度税制改正により、所得税・相続税の申告の適正性を確保する観点から、財産債務調書制度が導入されました。財産債務調書は、平成28年1月から施行されており、所得金額の合計額が2,000万円を超え、かつ、保有する財産の価額の合計額が3億円以上(国外転出特例対象財産を有する場合は1億円以上)の場合は、所得税の確定申告書の提出時に財産債務調書も提出が必要になりました。

 

◆制度の概要について、国税庁ホームページの「「財産債務調書制度」のあらまし」を参照しておきましょう。

「「財産債務調書制度」のあらまし」

【財産債務調書を提出しなければならない方】

所得税等の確定申告書を提出しなければならない方で、その年分の退職所得を除く各種所得金額の合計額(注1)が2,000万円を超え、かつ、その年の12月31日において、その価額の合計額が3億円以上の財産又はその価額の合計額が1億円以上の国外転出特例対象財産(注2)を有する方は、その財産の種類、数量及び価額並びに債務の金額その他必要な事項を記載した財産債務調書を提出しなければなりません。

(注1)申告分離課税の所得がある場合には、それらの特別控除後の所得金額の合計額を加算した金額です。ただし、①純損失や雑損失の繰越控除、②居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の繰越控除、③特定居住用財産の譲渡損失の繰越控除、④上場株式等に係る譲渡損失の繰越控除、⑤特定中小会社が発行した株式に係る譲渡損失の繰越控除、⑥先物取引の差金等決済に係る損失の繰越控除を受けている場合は、その適用後の金額をいいます。

(注2)「国外転出特例対象財産」とは、所得税法第60条の2第1項に規定する有価証券等並びに同条第2項に規定する未決済信用取引等及び同条第3項に規定する未決済デリバティブ取引に係る権利をいいます。

【財産の価額】

財産の「価額」は、その年の12月31日における「時価」又は時価に準ずるものとして「見積価額」によることとされています。

(注)「時価」とは、その年の12月31日における財産の現況に応じ、不特定多数の当事者間で自由な取引が行われる場合に通常成立すると認められる価額をいい、その価額は、専門家による鑑定評価額、金融商品取引所等の公表する同日の最終価格(同日の最終価格がない場合には、同日前の最終価格のうち同日に最も近い日の価格)などをいいます。「見積価額」とは、その年の12月31日における財産の現況に応じ、その財産の取得価額や売買実例価額などを基に、合理的な方法により算定した価額をいいます。

【財産債務調書への記載事項】

財産債務調書には、提出者の氏名・住所(又は居所)・マイナンバー(個人番号)に加え、財産の種類、数量、価額、所在及び債務の金額等を記載することとされています(財産及び債務に関する事項については、「種類別」、「用途別」(一般用及び事業用)、「所在別」に記載する必要があります。)。

(注1)「事業用」とは、不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき事業又は業務の用に供することをいい、「一般用」とは、当該事業又は業務以外の用に供することをいいます。

(注2)マイナンバーを記載した財産債務調書を提出する際には、本人確認書類の提示又は写しの添付が必要です。

【財産債務調書の提出期限等】

財産債務調書は、その年の翌年の3月15日までに所得税の納税地の所轄税務署長に提出する必要があります。

(注)その年の翌年の3月15日が日曜日に当たるときはその翌日、土曜日に当たるときはその翌々日までに提出しなければなりません。