相続税の税務調査⑤ 加算税
Q.相続税の税務調査の結果、課税漏れ財産があったため、修正申告書を提出することになりました。相続税本税の追加納税に加えて、「延滞税」や「加算税」の納税が必要になると聞きました。「加算税」について教えてください。
◆ポイント!
①加算税は、「過少申告加算税」、「無申告加算税」、「重加算税」の3種類があります。
②「過少申告加算税」とは、期限内申告書を提出した後に、修正申告書の提出や更正があった場合に、増差税額に対して課される税金です。税額は、増差税額の10%ですが、増差税額が期限内申告税額と50万円のいずれか多い金額を超えている場合は、その超えている金額については15%の割合で計算されます。
③「無申告加算税」とは、期限内申告書を提出していない場合で、期限後申告の提出や決定があった場合に、増差税額に対して課される税金です。税額は、増差税額の15%ですが、増差税額が50万円を超える場合は、その超えている金額については20%の割合で計算されます。
④「重加算税」とは、国税の計算の基礎となる事実の全部または一部を仮装、隠ぺいした場合に、過少申告加算税や無申告加算税に代えて、より重い加算税を課すものです。税額は、過少申告加算税に代えて課される場合は、増差税額の35%ですが、無申告加算税に代えて課される場合は、増差税額の40%となります。
A. 税務調査の結果、自主的な修正申告書の提出した場合、期限内申告書を提出している場合は、過少申告加算税が課されます。期限内申告書を提出していない状況で税務調査があり、申告書を提出することとなった場合は、本来納めるべき納税額に加えて無申告加算税が課されることになります。
では、自主的な修正申告を行った場合は、過少申告加算税や無申告加算税は課されるのでしょうか。
○過少申告加算税
過少申告加算税は、自主的な修正申告を行った場合は、税務調査による更正等予知前までに修正申告すれば課されないことになっていましたが、平成29年1月1日以後に法定納期限が到来する国税からは、税務調査の通知があった後は、過少申告加算税が課されることになりました。
○無申告加算税
無申告加算税は、自主的に申告書を提出した場合は、税務調査による更正等予知前までは、その割合が5%とされていましたが、平成29年1月1日以後に法定納期限が到来する国税からは、税務調査の通知があった後の無申告加算税はその割合が増率されることになりました。
○重加算税
重加算税は、過少申告加算税や無申告加算税に代えて課されるもので、税率は増差税額の35-40%と非常に重い割合が課されます。重加算税の賦課要件として、国税通則法68条には、「納税者がその国税の課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠ぺいし、又は仮装し…」とされており、「隠ぺい又は仮装」に該当するか否かについて、国税当局と納税者側で意見が対立することがあります。