小規模宅地等の評価減の特例② 老人ホームに入居のケース

Q.母親は老人ホームに入居しています。母親が老人ホームに入居する以前は、母親の自宅に長男と同居しており、長男は現在も居住している状態です。自宅の土地と建物は母親の名義ですが、母親に相続が発生した場合、小規模宅地等の評価減の特例の適用は可能でしょうか。

ポイント!

①老人ホームに入居している母親の生活の本拠は、老人ホームであると考えるのが原則です。

②平成25年度の税制改正により、被相続人が老人ホームに入居していた場合の小規模宅地等の評価減の特例適用にあたり、一定の要件を充たす場合には、被相続人が老人ホームに入居する直前までの自宅敷地について、被相続人等の居住の用に供されていた宅地等にあたるとされました。

③上記の改正は、平成26年1月1日以後の相続または遺贈により取得する場合に適用となります。

A.高齢化が進むにつれて、生活の拠点が自宅から老人ホームに移っているケースが多くなってきています。老人ホームに入所する前までの自宅の宅地等が特定居住用宅地等にかかる小規模宅地等の特例の適用できるか否かについて説明しましょう。

 被相続人が老人ホーム等に入居していて、自宅に居住していない場合でも次の要件を満たしている場合、特例の適用が可能となります。

(1)被相続人が相続開始の直前において要介護認定等を受けていたこと

(2)次の住居または施設に入居または入所をしていたこと

 a.認知症対応型老人共同生活援助事業が行われる住居、養護老人ホー  ム、特別養護老人ホーム、軽費老人ホームまたは有料老人ホーム

 b.介護老人保健施設・サービス付き高齢者向け住宅

(3)被相続人が住んでいた建物を老人ホーム入居後に「事業の用」または「同居親族以外の居住用」にしないこと